『読みたいことを、書けばいい。』の中で、田中泰延さんが、随筆とは「事象と心象が交わるところに生まれる文章」と定義していた。
つまり、「こういうことがありました」という事象と、「こういう気持ちになりました」という心象が両方含まれているのが随筆ということである。
なるほど。
これってつまり日常会話そのものなのかなと思った。
人と話すときは大体、「今日の昼にラーメンを食べに行った。おいしかった。」と話す。
「今日の昼にラーメンを食べに行った」が事象で、「おいしかった」が心象である。
これを「今日の昼にラーメンを食べに行った。」とだけ話しても、相手は「……。だから何?」となってしまう。
前置きを何もせずに「おいしかった」とだけ話したら、頭がおかしい人である。
日常会話は事象と心象がセットになっていないと成り立たない。
「随筆」と言ってしまうとなんだか難しい感じがしてきてしまうが、普段誰かにしている日常会話を文字起こしするくらいの感覚で書けば丁度良いのかもしれない。
文体も普段の話し言葉、口語でいい。
格式ばった文章を書こうとしなくていい。
「日常会話を文字起こしする」そう考えれば誰も書ける気がしてこないだろうか。
(余談)
田中泰延さんが書いた『読みたいことを、書けばいいい。』の中でおすすめ本として紹介されていた、小説家・筒井康隆さんによる随筆集『狂気の沙汰も金次第』を読んでいる。
今の時代だとかなりOUTなことが書かれているが面白い。
随筆ってこんなに独断と偏見で書いていいのか、むしろ独断と偏見があった方が面白いのか、という気づきがあった。
ちなみに、『狂気の沙汰も金次第』の中で、筒井さんが随筆とは「心象と物象との交わるところに生じる文」だと新聞社の人に教えられて納得するという話が出てくる。(冒頭1作目の「随筆」)
田中泰延さんもここから随筆の定義を引っ張って来たのだな、同じ本読んでいるなという謎の感動があった。(田中さんが紹介している本なのだから当たり前だが)
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